だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「向き合うことは簡単じゃない」
力強い声が響く。
私の折れそうな心を支えてくれる声。
この声に何度助けられただろう。
何度、しがみついたのだろう。
「時雨が辛いと想うことは、俺も同じように辛い」
「圭都・・・」
「俺は、お前を傷付けるかもしれない。でも、俺も同じだけ傷付いてやるよ」
「そんな・・・」
「それでいいんだ。俺には、お前を傷付けた責任がある」
「そんなもの、誰にもないよ」
「いいんだ。一緒に傷だらけになって、そしてそれを一緒に治していければいいじゃないか」
圭都はそう言って私の部屋を出て行く。
私は、その背中に向かって手を伸ばした。
圭都の背中にしがみついて、そしてぎゅっと抱き締めた。
この人を傷だらけにしているのは、私の方なのに。
それでも構わないと言ってくれるこの人と一緒にいたいと想った。
大丈夫。
この背中があれば。
大切なことを何一つ、見失わずにいられる。
そんな気持ちにさせてくれた。
言葉にしきれないほど、頼もしい。
そして、いとしい。