だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版





足を踏み入れた湊の部屋は、さっきまでとは別の場所に見えた。

物を隠す所などほとんどないシンプルなこの部屋は、どこか未知の空間に思えた。


物が少ないという事は、その分隠す場所が少ないということ。

探して見つからなかった時には何処を探していいのか途方に暮れるという事だ。




「見つかるさ」




圭都が私の肩を抱いて頭に頬を寄せる。

その頬に寄り添うように、私も圭都にすり寄せた。




そうだね。

見つけよう。

二人で。




「探してみよう。物が少ないから、荒れ放題にはならないだろうし」




そう言うと『違いない』と言って圭都は笑った。


二人で必死に湊の部屋を捜索する。

私の部屋と同じように隅々まで。

でも、湊の部屋の中が荒れていってもその箱は見つかりはしなかった。


探す所などほとんどなくなった部屋の中で、圭都は『絶対にこの部屋にある』と言って譲らなかった。

その時、カタン、という音が響いた。




「ここだ」




そんなところに、私が隠せるわけがないのに。



じゃあ、誰が?




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