だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
出生...シュッセイ
「お待たせしてしまったかな」
「いえ」
目の前のソファーにはお父さんが座る。
ママは動揺しながらも全員分の飲み物を用意して、お父さんの隣に腰掛けた。
私がコーヒーを飲めないことをちゃんと憶えていてくれたママに、とても嬉しくなった。
「さて」
最初に言葉を放ったのはお父さんだった。
コーヒーに口をつけて、お父さんは私達に向き直った。
「一緒に暮らすことを決めた、というのはどういう意味なのかな?」
投げかけられる言葉に威圧感はなかった。
お父さんは私達の想いをきちんと理解しようとしてくれていた。
「これから先、時雨さんと過ごしていきたいと考えています。ゆくゆくは結婚も。ただ、今すぐにとはいきませんので、まずは一緒に生活をしようと思っています」
「それは、もう決めたこと、ということかな?」
「はい。どんなに反対をされても構いません。理解していただけるまで、何度でもお話をさせていただきます」
こういう時、圭都はやっぱり年上なのだ、と実感する。
言葉の一つひとつに誠実さが滲んでいる。
私よりも色々なことを経験しているのだと、改めて感じていた。