だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「一緒にいられない時は、いつも想ってる。同じ気持ちを分け合えればいいのに、と」
私たちは、何かを見つけるたびにお互いの存在を想い出す。
そうすることで一緒にいるような気持ちになれる。
それは隣で寄り添っているのと変わらないことを知っているから。
湊がそっと私の手を繋ぐ。
繋ぎ慣れたその手は、お互いの境目さえわからなくなりそうだった。
「こうして隣に立っていられることが、何より嬉しい」
湊はどんどん素直になっていく。
気持ちを許してもらっているようでとても嬉しかった。
けれど、近付きすぎてしまった心は他の拠りどころを探せなくなりそうで、少しだけ怖かった。
「折角早く着いたんだし、先にお風呂に入る?」
「そうだね。それからゆっくりご飯が食べたいな」
湊の提案でお風呂に入ることにした。
残念ながら一緒に入れないけれど、それはそれでほっとした。
函館の時のような緊張をしなくて済むことは、私の気持ちを少し楽にした。
「一緒に入れなくて残念だな」
ぼそっと、湊が呟いた。
私はその顔を見て少しだけ笑って見せた。
赤くなる私の顔を見る湊の目は、とても嬉しそうだった。