だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
その日から、私達は新しい生活を始めた。
二人で過ごすという事は楽しいことばかりではない。
別々に育った二人が生活するということは、想像していたより大変だった。
圭都は『必ず夜にお風呂に入りたい』と言う。
どんなに遅くなっても。
私は『髪の毛がはねるから朝のシャワーで十分だ』と反論をする。
間を取って、早く帰って来たらお風呂、時間がない時は朝シャワーという中間案に落ち着いた。
洗濯物を干すのが嫌いな私に、洗濯物をたたむのが面倒と言う圭都。
二人で分担すると丁度いいので、すぐに合意した。
『タオルのたたみ方が違う』と言われたので、そこは圭都に教えてもらうことになった。
埃がかからないようにラップを巻いていた圭都の家のリモコンは、私の手によってラップを剥がされ元の姿を取り戻した。
大切にしているオーディオセットのリモコンだけは、特別に見逃してあげることにした。
料理は相変わらず圭都のほうが上手だけれど、私が作る料理を必ず『美味しい』と言ってくれるので、出来るだけ作ってあげたいと思う。
そんな些細なことが、私達にとっては大切だった。
生活の一部に圭都が少しずつ溶け込んでくる。
圭都の生活に私が馴染んでいくようだった。
一緒に住むようになってから、会社でも二人の関係を隠すようなことはなくなった。
たまに作ってくれる圭都の手作り弁当に、興味津々の他部署の女の子達。
声をかけてくれる機会が増えた気がする。