だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版





実家には、時折帰る。

一人の時はママに会いに。

二人の時はママが夜勤の時にお父さんに会いに行く。


まだまだ先は長いけれど、少しずつわかってもらえればいいと思っているので焦ってはいない。

お父さんに湊のラブレターを見てもらおうと差し出すと、お父さんはそれを遠慮した。




『娘宛のラブレターなんて読みたくない』




と言って、父親らしい姿を見せてくれたりもした。

照れたお父さんに威厳なんてなかったけれど、そうだね、と同意してあげた。




湊の月命日には湊のお墓に行っている。

少し前に有給を取って、二人一緒の時もあれば別々の時もある。


休みが一緒になるようにしているが、圭都は最近益々忙しくなっているので日程を合わせるのは楽じゃない。

圭都も『たまには一人で湊に逢いたい』と言っているので、それでいいと想った。




二人で暮らし始めてから一か月くらいが経った時、圭都のお母さんにも会いに行った。

圭都のお母さんとは、中々打ち解けることが出来なかった。

圭子さんは私を見るといつも怯えている顔をするし、圭都には申し訳なさといとしさの詰まった複雑そうな表情を向けていた。


私達は圭都を生んでくれたことに感謝しているし、それだけで幸せなのに。

逢いにいく度、いつも『ごめんなさい』と言われてしまう。

そのことに、一度だけ。

私が大爆発してブチ切れてしまったことがある。

確実に自分が悪いことを自覚しているので、関係の修復に躍起になっている。





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