だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
月日...ツキヒ
「櫻井さん!そろそろ出ないと間に合わないですよ!」
慌しく出かける準備をし机の上の封筒を確認する。
圭都の机の上は相変わらず汚いので、出かけている間に片付けようと思った。
「わかった!おーい!森川は!」
「課長、森川主任ならとっくに出ましたよ」
新入社員の男の子が圭都を『課長』と呼ぶ。
森川のことも『主任』と。
まだその名称に違和感を感じるのは、前からいたメンバー全員だと思う。
「あぁ、そっか。時雨っ!あと頼む!」
「了解しました。いってらっしゃい」
「時雨さん、なんかエロイっすね」
松山が変なことを言ったので、にっこりと笑う。
松山はまだへらへらしているので少しこらしめてやらなくては。
「そういえば、さっき松山の奥さんからメールきてたのよ。『時雨さんにお願いがあります』って。咲(サキ)ちゃんに会うの楽しみになってきたなぁ」
にっこり笑った私の顔を見て、松山の顔はどんどん青くなっていった。
口がだらしなく空きっぱなしの松山に向かって意地悪く笑ってみせる。
「やめてくださいっ!ごめんなさい!もう言いませんからっ!って、何で咲とそんなに仲良くなってるんですか!?」
慌てる松山を見てぽんと資料を頭に乗せてあげる。
仕事が出来るようになっても、女の子には弱い松山は入社当時と変わらない。