だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
森川は主任になった。
私と肩を並べて仕事をする姿はとても頼もしい。
圭都の愚痴を未だに聞いてくれる森川
今でも最高の相談相手であり、かけがえのない友人だ。
ただ、新しい恋の相手は一筋縄ではいかないらしく、今でも居酒屋のカウンターで恋愛談議を交わしている。
相手が相手だけに『なんでそんな厄介な人を好きになるかなぁ』と、私は苦笑いを零すことも多い。
松山は結婚して、もうすぐパパになる。
落ち着きのなかった松山が結婚したことで、少しはましになるのではと思って期待をした。
結果は・・・まぁ、相変わらずだ。
奥さんの咲ちゃんは前からずっと付き合っていた彼女だ。
お互いの話をきちんとしたことで、すんなり結婚にこぎつけたらしい。
結婚式の松山は、今まで見た中で一番格好良くて、一番情けなかった。
最近は咲ちゃんと話が合うので、よくご飯を食べにお邪魔している。
篠木は彼女も作らず真面目に仕事に取り組んでいる。
クールな篠木が仕事中に笑う姿がたまらないらしく、今流行の『ツンデレメガネ』を狙う女子社員は、社歴問わずとても多い。
当の本人は『女子社員に免疫がないんです・・・』と泣きついてくる。
篠木に同情するものの、私と水鳥さんを女子社員の括りに入れていないことがわかって篠木を助けてあげないことも多い。
篠木曰く『だって二人は、下心なく俺に優しいじゃないですか二人とも!』という理由らしい。
当然ながら、私も水鳥さんも相方がいるので後輩なんかに下心も何もないけれど。
『優しい』と言われると悪い気がしないのは、篠木の顔があまりに整っているせいだろう。
仕事が出来る美形がモテるのは鉄則なので仕方ない。
それでも、積極的なアプローチにはこりごりなのだろうと思った。