だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「お腹押してみるわね」
ママが私の胃に触る。
けれど、いつものような走る痛みはない。
鈍く押される感覚が胃の中の内容物を押し上げる感覚がした。
「ここ、痛い?」
「平気・・・、それより吐く・・・」
私の様子を見ていつでも吐けるように準備をしてくれた。
そのまま点滴をしてもらい個室の処置室へと運ばれた。
動くのもままならないけれど、血液検査と尿検査をすることになった。
こんな時に尿検査をするのは辛いが仕事中のママは絶対。
逆らってはいけない人だと、小さな頃から刷り込まれている。
看護師に誇りを持っているママは、仕事中とても怖いのだ。
『身内限定』で。
少し時間が経つと気分が楽になってきた。
点滴のおかげだな、と思いながら垂れ下がるチューブを見つめる。
左腕に刺さった針はママが一発で入れてくれたので全く痛くない。
「・・・さすが」
ふふふと笑い、ママが自分の『母親』であることを嬉しく思った。
寝不足のせいか最近は寝ても寝てもずっと眠い。
仕事も忙く『休んでいる暇など無い』という感じだ。
ともかく、ひとまず今は眠ろう。
目を瞑るとすぐに意識が途切れた。