だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
湊...ミナト
そっと目を開けると、そこには少し傾いた太陽が差し込んでいた。
レースのカーテン越しの光は柔らかく私に降り注ぐ。
処置室から病室に移されていた。
窓辺の椅子には圭都が腰掛けていた。
「起きたか?」
圭都は心配そうに私の顔を覗き込み、そっと髪を撫でてくれた。
ここにはママもいるのに。
それでも来てくれたことを嬉しく想う反面、こんなところまで来させてしまってごめんね、とも想った。
「目が覚めたら話がある、ってお父さんが。さっき、廊下で会った」
「そう」
「お母さんが、病室を教えてくれた。ちょっと、ぎこちなかったけど」
苦笑いを浮かべて圭都は言った。
少し悔しそうな顔に見えたのは、間違いじゃないと想った。
「ごめんね、こんな所まで来させて」
「そんなことはいい。俺こそ、ごめん。最近体調悪そうなの気付いてたけど、一人で来させて」
圭都の言葉に小さく首を振る。
起き上がろうとする私に圭都が手を貸してくれた。
そっと添えられた背中の手から、圭都の温度が伝わってきた。
「ありがとう」
「あぁ。とりあえず元気そうで、本当に良かった」
情けなく笑った圭都を見て、随分と心配をかけてしまったんだなと反省をした。
その情けない顔を何とかして欲しくて、そっと頬に手を寄せた。