だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「こんな風にずっと一緒にいられるなんて、想いもしなかった」
湊の声がどんどん掠れていく。
その声が、私の胸を苦しくさせた。
誰にも秘密にしたまま、二人でこっそりと育ててきた。
一緒にいることが当たり前な年齢ではなくなった時、私たちは周りからどんな風に見られるのだろうと。
そんなことばかり考えていた。
好きな人がいると言えない。
こんなにもに幸せなことを誰にも言えない。
わかって欲しいと、想うことさえいけないことだった。
誰かに理解してもらうことも、認めてもらうことも諦めていた。
「認められて一緒にいることが、こんなに幸せだと想わなかった」
湊の言葉に涙が出そうになった。
その涙は嬉し涙のはずなのに、何故かとても胸が苦して。
まるで、終わりが近づいてくるような絶望感を味わった時のように私を苦しくさせた。
絶対に認めてもらえないと想ってた。
お父さんにもママにも。
二人の幸せを壊すことは、絶対にしてはいけないことだと。
それでもわかってもらおうと、湊は言った。
私だって、二人にだけは認めてもらいたかった。
こんな風に堂々と二人で出掛けたかった。
こんな風に湊を好きだと、認めて欲しかった。
今この瞬間がやってくるなんて、想いもしなかった。