だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
雨の終わり
頭の奥がぼんやりとする。
真っ白な世界の中。
息をするだけで、精一杯。
握り締めた手は、爪が食い込んでいた。
噛み締めた唇は、血の味がした。
『生きている』から。
大きな声が聴こえた。
少しずつ視界が開けてきた。
その顔を見て、私は泣いた。
おかえり、湊。
そして、初めまして。
まだ名前のないいとしいぬくもりを、そっと抱き締めた。
圭都に良く似た男の子。