だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「お前が自分を責めることはないよ。湊の面影が俺にあるのは、仕方がないことだ」
少し目を伏せて目の前の光景を見ていた。
目を向けただけなのか、それをしっかりと映しているのかはわからなかった。
「一緒にいた時間を、忘れられるわけがない」
それは、きっと。
圭都自身がそれを知っているから。
「でも、その長さを越えることは出来るだろう」
時間の長さ。
湊との時間をこれ以上増やすことは出来ない。
けれど。
圭都との時間はこれからもっと増やしていけるだろう。
「湊と一緒にいた時間以上に、一緒にいられればいいと想う。そうなればいい、と」
私は少しでも涙を堪えたかった。
滲んでしまうこの人の顔を、しっかりと見つめてあげたかった。
きっと、この人自身を私は見ている。
湊を重ねることも沢山あるけれど、重ねる度に違いを実感していける。
圭都だけが持っているものが沢山ある。
身代わりじゃないよ。
でも、重なる。
想い出が勝手に。
どうしたらいいのだろう。