だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
初めて私に触れる圭都の手は緊張を連れて来た。
大切に確かめられる自分の身体が、緊張で強張っているのがわかった。
圭都がそれを見つける度に、優しいキスがおりてくる。
触れる冷たい指先も。
優しく触れる唇も。
私を支えるその腕も。
そうか。
本当に好きな人に触れられると、こんなにも緊張するんだ。
そんなことに、今更気付いた。
高校生のように固まっている私に、優しいキスが何度も降ってくる。
言葉の変わりに触れる唇が、私の思考回路を壊していく。
少し震える手で圭都の背中に触れる。
その熱い身体は、私を更に緊張させた。
「時雨、こっちを見て」
恥ずかしさのあまり顔を背けていると、耳元で甘い声がする。
どこにそんな甘い声を隠していたのかと想うほどの、優しい声。
耳をすり抜けて、心臓を鷲掴みにする声。
腕を顔に当てて必死に抵抗する。
この顔を見られたくない。
今、目が合ってしまったら。
私は恥ずかしさで泣いてしまいそうだった。
おかまいなしに、私の体中に圭都のキスが降ってくる。
触れる度に吐息だけが漏れる。
息が上がるたびに、嬉しそうに笑う圭都の気配がした。
意地悪。