だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「・・・ん」
もぞもぞと動くその腕にあわせるように、身体を動かす。
私を抱える腕の強さが強くなったのがわかった。
「圭都?」
少しだけ振り向いて声をかける。
私の声に反応するように、優しい腕に力が入る。
向きを変えて、と言うように。
それに逆らうことなく、圭都の胸の中に顔を寄せた。
伸ばした腕は、少しだけ温度の低い圭都の背中に触れた。
そっと抱き締める。
「おはよう、時雨」
優しい声。
低く響く音がする。
頭の上に優しくキスをくれる。
それを感じて、そっと圭都の顔を見上げる。
そこには見たこともないような、幸せそうな圭都がいた。
「おはよう」
そっと告げるとそのままキスをくれた。
触れるか触れないかの唇は、私の心の中をとても温かいもので満たしてくれた。
「いいな、こういうの」
そう言って、もう一度私にキスをした。
今度は少しだけ長く繋がるキスを。