だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「俺たちらしい、一緒にいられるカタチがあればいい」
「私達らしいカタチ・・・」
「いつか離れる時が来るかもしれない。けれど、どちらかがいなくなってしまっても、一緒にいたという事実は絶対になくなったりしない」
一緒にいた事実は、絶対になくなったりしない。
想い出は消えることはない。
此処にいる事実がある限り。
「同じ時間を生きてる。それだけで泣けるほど幸せだ」
なんだか悔しくなって圭都の胸に顔を埋めた。
私の肩が震えていることに、この人が気が付かないわけがない。
けれど、この人の言葉は私にしっかりと届き過ぎる、と想う。
涙が溢れて止まらない。
背中を抱き締める温かい腕のせいなのか。
優しいキスのせいなのか。
こんな気持ちになるなんて。
気持ちが溢れそうになって初めて、言葉が零れ落ちた。
「圭都の存在している事実も全て、愛してる」
腕の中で流れた涙は、圭都の胸を伝ってシーツに落ちた。
冷たくなっていく頬に熱を与えるように、圭都は強く抱き締めてくれた。
胸の鼓動がここに生きていることを教えてくれる。
時間は流れいていくのだ、と。
耳元で圭都が小さく囁いた。
俺も愛してる、と。
その声がきっと、私たちの本当の始まりだと想った。
いつの間にか明るくなった空の中、私たちは抱き合ったままもう一度眠りについた。