だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
風花
居場所...イバショ
「時雨、そろそろ準備しろ。今日の挨拶回り終わらなくなるぞ」
「了解です!一件メール打ったら出れます」
「時雨さん、二番に水鳥さんからお電話です」
「あ、ありがとう。すぐこっちで取るね」
年末年始の休暇が終わると、あっという間に繁忙期に入ってしまう。
年明けはバレンタイン・ホワイトデーなどイベントが目白押しだ。
それに加えて、ブライダルフェアがいよいよ本格化してきている。
私は、圭都と一緒に外出する機会が増えていた。
「お電話代わりました、山本です」
パソコンから目を離さずに水鳥さんの電話を受け取る。
受話器を挟んだままメールするなんていうのは、日常茶飯事だ。
『ごめんね、シグ。確認があって』
「大丈夫です。何かありましたか?」
『先週の・・・』
電話のやり取りをしながら、クライアント宛の見積もりを添付したメールを送信した。
立ち上がって水鳥さんの席でガサガサと探し物をしていると、準備万端の圭都が目の前に立っていた。
ジェスチャーで『電話代わる』と言ってくれたので、断りを入れて電話を保留にした。