だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「用件聞いておくから、外出の準備して来い」
「ありがとうございます。先週の資料の件だそうです」
わかった、と手を挙げてすぐに電話を代わってくれた。
それを見て水鳥さんの机から先週の資料を手渡した。
すぐにコートを取りに行き準備をして戻った時には、電話を切って圭都が待っていた。
「すみません、お待たせして」
「いや、大丈夫だ。出れるか?」
はい、と頷いて二人で会社を後にした。
手には会社の封筒を抱えていた。
今日は年始の挨拶と、ブライダルフェアの簡単な打ち合わせに行く予定になっていた。
月末には最終プレゼン。
このプレゼンで企画が本格始動を始める。
エレベーターに乗り込んで、小さく息を吐く。
休み明け早々のこの多忙な日々は、少し身体が辛くなるなと思った。
「大丈夫か?」
「平気です。すみません、バタついてしまって」
そう言うと、ふっと圭都が笑った。
二人だけでいることが、圭都の表情を柔らかくしていることを知っている。
大きな手が私の頭にぽんと乗せられた。