だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「・・・動揺してるじゃない」
噛み殺すように発せられた言葉は震えていた。
その声に非道く怒りを滲ませて。
杉本さんの声に、私は本能のまま怯えてしまった。
「認めないわ。どうして貴方が『たった一人』なの」
杉本さんの顔からは余裕が消えていた。
浮かぶのは本音。
憎悪。
嫉妬。
焦燥。
私に向けられる全ての負の感情が、そこにはあった。
「圭都を支えることが本当に出来るの?」
「何を言って――――――」
「誤魔化しても無駄よ。知ってるのよ、全部」
「あ・・・」
「圭都は優しいから。あなたはどうせ、甘えてばかり何でしょうね」
「そんな・・・」
「認めないわ。私の方が圭都を大切に出来る。私の方が圭都を好きに決まってる」
感情に任せて叫んでくれればよかったのに。
淡々と語られるその想いに、私の気持ちは益々揺れた。
甘えてばかり?
圭都を支えることも出来ない?
杉本さんの方が、圭都を好き?
反論が出来ない。
事実ばかりを並べられて。
何も言えない。
「一緒にいても圭都が辛くなるだけだわ。自分でしっかり考えることね。圭都にとって、何が一番幸せかってことを」