蜜ショコラ
「ねぇ、夕焼け。ほら見て」
言われて窓を振り返れば、傾きかけてた陽は、その日一番の輝きを見せていた。
どうして、こうなってしまったのか。
わざと背けていた視線を戻し姿を見れば、オレンジに照らされた横顔に心が揺れた。
どうせなら、出逢わなければよかったのに。
手に入らないなら、知らないままでいたかったのに。
オレの気持ちなんて、知るはずもない。
野崎はまた、オレを見て笑いかけてくる。
「光、圭吾くんのピアスに反射してる。……それに髪の色、きれいだね。夕陽と同じみたい」
無邪気な表情。
なんで、こんなとこに来たんだよ。
おまえは、あいつの彼女だろ?