【完】時を超えて、君に会いに行く。


――ガラッ。



美術室のドアが、突然開く。



そこには、相変わらずムスッとした航が立っていた。



うしろには彼方もいる。



……怒ってるんだったら、私のことなんてほうって帰ればよかったのに。


そう思う反面、やっぱりちょっと嬉しかった。



どれだけ私をムカついてても、結局はこうやって迎えに来てくれる。


……優しいんだよね、航って。



「帰るぞ」



「……うん」



私はゆっくりと、立ち上がった。


机の中の未完成の物語は、見て見ぬふりをして。

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