【完】時を超えて、君に会いに行く。



「航……!」



無言だった3人の帰り道に、私の声が響く。


初めて沈黙が破れ、前を歩いていた航はゆっくりと振り返った。



「なに?」



相変わらずの仏頂面。



なんでそんな怒ってるの?


笑ってよ。


お願いだから……笑って。



「今日の航、変だよ。どうしたの?」



「…………」



私の言葉に、なにも言わない航。


彼方は立ち止まって、ただ私たちを見守っていてくれた。


イライラばかりが募る。



「……その態度、なに? どうしてずっと怒ってるの?」



「うるさいな。お前にはわからねぇよ。俺の気持ちなんて」




なにそれ……。



わかりたいよ。でも、わからないんだよ……!



「わからないに決まってるじゃん!
だって航、私にはなんにも言ってくれない。大事なこと、いつも教えてくれないじゃん!」



「はあ?お前だって俺になんか隠してることあんだろ?
昨日、俺に嘘ついてまで図書室行った理由とか、彼方と帰ったこととか、隠してたじゃねぇか!」



お互いの声が荒げていた。


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