【完】時を超えて、君に会いに行く。


数人の通行人が、私たちにチラチラと視線を向けて、通り過ぎていく。


はたから見たら、ただのケンカ。



だけどこれが、私の本音だった。



私だって、別に隠したかったワケじゃない。


ただ、素直になれないだけなんだよ……。




「……もう、いやだ。航なんて、どっか行っちゃえ」



本音のあとに出てきた言葉は、思ってもない言葉だった。


私は航に、大きな嘘をついた。




「ああ、わかったよ。そうしてやる。じゃあな」



しびれを切らしたように、私たちの横を通り過ぎて行ってしまう航。



その瞬間、私は嫌な予感がした。


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