【完】時を超えて、君に会いに行く。
「じゃあね、未歩。気をつけてね」
「まっすぐ帰れよ」
「うん、ばいばい」
沙奈と航に手を振って、私は教室をあとにした。
あのふたりは今からそれぞれの部活に行くんだろう。
そして帰りは一緒……か。
「あ、未歩」
ぼんやり廊下を歩いてると、前から彼方がやって来た。
「あれ?どこか行ってたの?」
まだ練習着に着替えてない、制服のままの彼方。
「日誌。先生に渡しに行ったけどいなかった。だから部活後もっかい渡してくるわ」
そう言って手に持ってる日誌を、私に見せてきた。
ああ、今日は彼方が日直だったんだ。
全然知らなかったや。
前の木曜日は、ずっと航と沙奈のことばかり考えてて、それどころじゃなかったのかな……?
ん?
てことは、あの日放課後に彼方が校内にいた理由って、先生に日誌渡しに行ってただけ?