【完】時を超えて、君に会いに行く。


確か彼方と偶然昇降口で会って、そのまま一緒に帰ったよね。



あのときは美術室の方を見てた気がするけど……。



「日誌くらい、先生の机の上に置いとけばいいのに」



「あー、その手があったか」



「ははっ。そんなのもわからないなんて、ぼんやりしすぎじゃない?」



ちょっとおかしくて、笑ってしまった。


「ぼんやりしてる未歩に言われたくないし」


ふっと笑みをこぼしながら、彼方は私の額に拳をコツンとぶつけてそう言った。



「最近ずっとボーッとしてるよな?
保健室でなにか俺に言いかけてたことも、未歩が教えてくれんなら、俺、聞くから」



ドキッとした。



ちゃんと、私が言いかけてた言葉に気づいてたんだ。


朝は航に遮られちゃって言えなかったけど。

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