【完】時を超えて、君に会いに行く。



「よし。俺の秘密を教えてあげたから、今度は未歩の番だ」



「は……?」



彼方の言葉に、変な声がでた。




「俺は本を読むのが好きって秘密を教えてあげた。だから未歩も、今隠してることを俺に教えて」



えーっと……。本を読むのが好きって、秘密にすることなの?



いや、きっと違うよね。



彼方はきっと、私が心の内に秘めてることを吐き出させて、楽にしてくれようとしてる。


そんな気がした。



不器用だけど……。


わかりにくいけど……。



彼方は誰よりも私たちを見ていてくれて、すごく優しい。



だけど、そうか。



彼方のおかげで、少しだけ考えを変えることができた。


別に信じてもらうために、打ち明ける必要ないんだ。


作り話っぽくても、それで彼方が受け止めてくれるなら、話してもいいと思えてきた。

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