【完】時を超えて、君に会いに行く。



もし、打ち明けたこの秘密を彼方が信じてくれなかったら、私はもう誰にも話せず、途方にくれていたにちがいないから。



「ありがとう、彼方。おかげで、少しだけ気が楽になった」



「ホントに?」



「うん。だって……」



私はきっと、誰かに話したかったんだ。


彼方に話を聞いてもらって、改めてそう思う。


ずっと背負ってた重荷を、少しでも軽くしたかった。


ひとりでは抱えきれない不安を、彼方と共有することで、半分にできた気がする。


ゴチャゴチャになってた心が、ようやく落ち着きを取り戻した。



あのまま彼方に信じてもらえず、誰にも話せないでいたら、自分を見失うところだったかもしれない。


そうならないで済んだのは、彼方のおかげだ。
< 128 / 420 >

この作品をシェア

pagetop