【完】時を超えて、君に会いに行く。

……何が起こったの……?




「おい……!男の子がひかれたぞ!」



「だ、誰か! 早く救急車を……!」




……っ。


……男の子が、ひかれた……?



うつ伏せの体を起こし、くるりと後ろを振り返る。


まるで、スローモーションのように、ゆっくりと。




「…………」




私だけが、時が止まったかのように、その場から動けなくなった。



目の前の光景を、ただ見ている傍観者みたいに。



周りにいた人たちが、私の横を通り過ぎてだんだんと集まってくる。



そばにいるはずなのに、私だけが理解できずに取り残されていた。




「……わ、たる?」



人々の間から見える、倒れている人の姿。


赤く染まる横断歩道の中心に倒れているその姿は、さっきおっきくなったなぁって感心してた、あの背中。



……航の、背中だった。
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