【完】時を超えて、君に会いに行く。


木曜日の帰り道は、彼方とふたりで帰った。



前の木曜日と、変わらない。



だけどなぜか、同じ未来になるかもしれないっていう不安はなかった。



……なんでだろう?




前のときは、彼方とふたりで帰るのが初めてで少し緊張していたのに、今は全然そんなことないんだ。



沈黙もあるけど……全然、居心地が悪くない。



むしろ、彼方のうしろはすごくすごく安心する。



守られてるような、そんな気さえする。



……変なの。




「ふふっ」



おかしくって、笑みがこぼれた。




「ん?どうした?」



「なんでもないよ」



振り返った彼方に、笑顔でそう言った。



……大きな背中だなぁ。



そんなことを思いながら、一歩だけ彼方に近づいてみる。



この距離はまるで、秘密を打ち明けた私と、それを受け入れてくれた彼方の距離みたい。




今日は、ちょっとだけいい日。


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