【完】時を超えて、君に会いに行く。
「なんで?航、ずっと彼方と一緒に帰りたがってたじゃん。だったら3人で帰ろうよ」
「…………」
私の言葉に、黙り込んでしまう航。
やっぱり、大事なことはいつもこうやってはぐらかされる。
最近の航は、よくわからない。
どうして今、そんなにも困った顔をしているのかも……。
「わかったよ」
そう言いつつも、納得いってないような航は、そのまま無言で教室を出て行った。
その場には、私と彼方だけが取り残されている。
「よかったの……?」
彼方は、消えていく航の背中を見つめながら私に問いかける。
「いいの、これで。 だって航を助けるためだもん」
その目的を果たすために、私は航の言葉に耳を傾けなかった。
「じゃあ、またあとでね」
「……わかった」
コクリとうなずいた彼方が、どこか真剣な表情をして教室を出て行く姿を見送った。