【完】時を超えて、君に会いに行く。



航はというと、図星を突かれたかのように、グッと言葉を飲み込んだ。



周りの通行人が、チラチラと私たちを見ていた。



はたから見たら、ただのケンカ。


でもこれは、私のせいだ。



私のワガママのせいで、彼方が航とケンカする羽目になってる。



「もういいよ、彼方!」


私は咄嗟に、彼方を止めた。


「なんで?」


「なんでって……。ふたりにケンカしてほしくない」


「そうじゃないよ。これは俺の意志。
前に言ったじゃん、俺は未歩の味方だって」



……それはいつの日だったか。


私と航がケンカして、ひどく落ち込んでいたときに、わざわざ引き返してきてくれた彼方が言ってくれた言葉だった。



「でも……」



言い返せないで、口ごもっていると、



「もう知らね。ふたりで帰れば?」



航が突然、しびれを切らしたようにそう言って、前を向いて歩き出してしまった。


< 139 / 420 >

この作品をシェア

pagetop