【完】時を超えて、君に会いに行く。
航はというと、図星を突かれたかのように、グッと言葉を飲み込んだ。
周りの通行人が、チラチラと私たちを見ていた。
はたから見たら、ただのケンカ。
でもこれは、私のせいだ。
私のワガママのせいで、彼方が航とケンカする羽目になってる。
「もういいよ、彼方!」
私は咄嗟に、彼方を止めた。
「なんで?」
「なんでって……。ふたりにケンカしてほしくない」
「そうじゃないよ。これは俺の意志。
前に言ったじゃん、俺は未歩の味方だって」
……それはいつの日だったか。
私と航がケンカして、ひどく落ち込んでいたときに、わざわざ引き返してきてくれた彼方が言ってくれた言葉だった。
「でも……」
言い返せないで、口ごもっていると、
「もう知らね。ふたりで帰れば?」
航が突然、しびれを切らしたようにそう言って、前を向いて歩き出してしまった。