【完】時を超えて、君に会いに行く。
「航っ!!」
隣にあった影が動く。
……っ!?
――ドンッ!
……え?
それは、一瞬の出来事。
私の隣にいたはずの彼方が、そこにはもういない。
「……か、なた……?」
みっともないくらい、声が震えた。
私の目の前の光景は、鮮やかなまま、真っ白に吸い込まれることもなく、ただ時間だけが過ぎている。
「男の子がひかれたぞ……っ!」
「誰か、きゅ、救急車を!」
周りの人たちが、道路の真ん中に倒れてる人をみてそう叫ぶ。
……うそ、だ。
航の背中を押して、大型トラックと衝突したのは……彼方だった。
「彼方っ!!」
押された勢いで前に倒れた航は、すぐに体を起こして彼方のそばにかけよる。
私だけがまるで、世界から切り離されたみたいに、その場から動けずにいた。
……なんで?
……なんで今度は、彼方なの?