【完】時を超えて、君に会いに行く。
「彼方!しっかりしろ!彼方!!」
航は何度も彼方に呼びかける。
周りにいた人が、だんだんと集まってきた。
…………。
やだ。
やだよ……彼方。
戻れ。
戻れ戻れ戻れ……っ。
1週間前でも、昨日でも、数時間前でもいいから……戻って!
「未歩!」
航に名前を呼ばれ、ハッとした。
……戻った?
だけど目の前の世界は、なにひとつ変わらない。
「早く! 早く救急車を!!」
「……っ」
どうして……?
どうして戻らないの……?
私が、航を助けることだけを考えていたから?
私が、それを望んだから……?
……だから?
だから、彼方なの?