【完】時を超えて、君に会いに行く。
航を失いかけたときみたいに、過去に戻ることができないのも、もしかしたら私が、どこかで彼方が生きていることに安堵しているからなのかもしれない。
そんなはずないのに。戻れるものなら、もう一度やり直したいのに。
そして、今度こそうまくやり過ごして、航も彼方も救いたい。
なのにどうして、過去に戻ることができないの?
すると突然、『手術中』と書かれている赤いランプの光が消えた。
その場にいたみんなが、一斉に息を飲む。
扉の向こうから出てきた先生は、真剣な眼差しで私たちを見つめていた。
「ご身内の方は?」
「家の人は、まだ来るまでに時間がかかるかと……」
「そうか」
すると先生は、顎に手を当てて考え込む。