【完】時を超えて、君に会いに行く。
それからずっと、私たちは病室のベッドで眠る彼方のそばにいた。
航はさっき、病室を出て行った。
「……彼方」
眠ってる彼方に声をかける。
沙奈もバイトで疲れてしまったせいか、彼方の手を握りながら眠ってしまっていた。
私も無性に触れたくなって、ビクビクしながらも、そっと彼方のキレイな寝顔に触れてみる。
するとそこから、優しい温もりがじんわりと私の指先に伝わってきた。
それは私の心まで、染み込むように浸透していく。
私を安心させてくれる温もり。
彼方は眠ってても優しい。
「ごめんね。……痛いよね」
たくさんの針を刺されて、たくさんの器具に繋がれている彼方。
そんな彼の口元に手を当て、何度も何度も息をしてるかと確かめた。
確かに彼方は、生きている。
「……っ」
なのに、涙が出るのはどうしてだろう?
しばらくすると、病室に航と……知らないおじいさんとおばあさんが入ってきた。
「未歩、彼方の家の人……」
「……あっ。こんばんは……」
航の紹介で、私はその人たちにペコッと頭を下げた。