【完】時を超えて、君に会いに行く。
「こんばんは。初めまして。彼方のお友達ですよね?
いつも彼方がお世話になってます」
優しいそうな老人夫婦の、おばあさんがそう言った。
「来るのが遅くなってごめんね。ずっと君たちが彼方のそばについててくれてたんだろう?本当にありがとう……」
おじいさんが、彼方みたいに優しく笑ってお礼を言う。
なぜ私たちが感謝されているのかわからなくて、胸がキュッと苦しくなった。
違う。私が彼方を傷つけたんです。
私はおもむろに頭を下げた。
「ごめんなさい。彼方のそばにいたのに、助けられなくて……ごめんなさい!」
「違うんです!彼方は俺をかばったんです!
俺のせいなんです!俺の不注意で……!」
私と航は、何度も何度も彼方の家族に、頭を下げて謝った。
「顔を上げて、ふたりとも」
「そうだよ。彼方がこんなところを見ても、きっと喜ばないからね」
ふたりの言葉にゆっくりと顔を上げた。
ああ、この人たちは彼方に似ていて、すごく優しい。