【完】時を超えて、君に会いに行く。
「とりあえず、今日はもう夜も遅いし、君たちのご家族が心配するから早く帰りなさい。
いろいろとありがとう。助かったよ」
「……はい」
航は彼方の家族にそう返事をして、カバンを持つと、眠ってる沙奈を起こした。
そして沙奈も彼方の家族にあいさつすると、カバンを手に持ち、帰る準備をする。
だけど私だけは、その場から動かなかった。
「未歩、帰るぞ」
航にカバンを押し付けられながら、そう言われる。
だけど私は、首を横に振った。
「嫌だ……」
「えっ?」
「私、どこにも行きたくない」
「未歩……」
「私のせいなの。私が彼方にお願いなんてしたから、こんなことになった。
それなのに、私は彼方を助けることもできない……!」
過去に戻ってもう一度やり直せれば、彼方を助けることができるのに。
時を超える力は、こんな大事な時に役立たない。
神様、お願いだから……。
もうなにもいらない……。
なにも望まない……。
だからもう一度だけ、過去に戻して……っ。