【完】時を超えて、君に会いに行く。




「ご家族の方ですか?」



病室の扉が突然開き、みんなが一斉に振り返ると、そこには彼方の手術をしてくれた担当の先生がいた。



「はい。そうです」


彼方のおばあさんが頷く。



「彼方くんの、状態のことなんですが……」



先生はチラッとだけ私たちを見て、気まずそうな顔をする。


たぶん、身内以外の人に言うのをためらってるのかもしれない。



……だけど、私も知りたい。



「教えてください。みんなにも……彼方の友達にも、彼方のことを教えてあげてください」


おばあさんは、頭を下げて先生にそう頼んでいた。


私も航も沙奈も、そのことに驚いた。



きっとおばあさんは、私たちが彼方の状態を知りたいことを見透かしていたんだ。

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