【完】時を超えて、君に会いに行く。
君に会いに
目が覚めると、まばゆい光が私を照らす。
一瞬、時間が戻ったんじゃないかと錯覚してしまうほど、明るい朝日だった。
小鳥のさえずりが聞こえる。
私はベッドから起き上がり、重たい足取りでカレンダーの前に立った。
「土曜日……」
休日が来るのが、すごく久しぶりな気がする。
いつも金曜日で過去に戻ってしまっていたから。
それと同時に実感してしまう現実。
……私、寝ても覚めても過去に戻れなかった。
昨日、あれから彼方が目を覚ますことはなかった。
記憶は曖昧だけど、最後におじいさんとおばあさんにあいさつをして、私は航と帰ったのだけは覚えてる。
もう一度、カーテンの隙間から差し込む朝日を見つめた。
……行かなくちゃ。
制服には袖を通さなくていい、土曜日。
私はタンスから私服を出して、それに着替えた。
そして家のドアを開けて、歩き出す。