【完】時を超えて、君に会いに行く。


彼方は、私の願いを叶えてくれた。



……生きていてくれた。



「彼方ぁっ……」


涙が溢れる。


だって私、すごくすごく君を傷つけた。



「ごめんね……。本当に、ごめんなさい……」


足のギプスを見ると、私はもうこれ以上近づけない。



私が彼方に近づくと、彼方が傷ついてしまう。


そんな気がするから。



「謝らなくてもいいからさ……もっとこっち来てよ。さみしいじゃん」


なのに彼方は、相変わらずの優しい声でそんなことを言う。



「だって、私のせいで彼方は……」


「未歩のせいじゃないよ。いいから、早くこっちに来て」



ゆっくりと私に手を伸ばす彼方。



その手はしっかりと、落ちることなく私に向いている。



私は言われた通り、彼方のもとへと歩み寄った。



そしてベッドのそばにいき、彼方の足を見つめる。

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