【完】時を超えて、君に会いに行く。


あれ?そういえば……。


「……彼方。おじいさんとおばあさんは?」



周りを見渡して、ふと、疑問に思ったことを聞いてみた。


それは彼方の家族のこと。



「ふたりなら、朝まで眠らずにずっとそばにいてくれたみたいだったから、疲れてるだろうし帰ってもらったよ」



やっぱりだ。


やっぱり彼方は、自分より他人を優先する。



たとえ身内であっても甘えたりしないで、その優しさで、自分を犠牲にする。



辛いときは、無条件に甘えてもいいのに、まるで甘え方を知らない子供のように、彼方は誰も頼らない。



それってさみしい。


彼方は私たちを守れて嬉しいと言った。



……じゃあそんな彼方を、いったい誰が守ってあげるんだろう?



「…………」



……いるじゃん。


私がいる。



まかせてよ、彼方。


……今度は私が、彼方を守ってみせる。


< 165 / 420 >

この作品をシェア

pagetop