【完】時を超えて、君に会いに行く。


「…………」



彼方は私の問いに、何も言わなかった。



だったら私だって、自分の意志を貫き通すまでだ。



「……私、毎日ここにくるね」



「えっ?」



「毎日、彼方に会いに来るから。イヤって言われても」



私に何かできることがあるなら、してあげたい。



彼方にしてもらったことに比べたら、10分の1も返せないかもしれない。



それでも私にとって、〝彼方のために〟何かをするということが、今、意味のあることだと思うから。




すると彼方は、困ったように笑ってみせた。


まるで駄々をこねてる子供を見つめるみたいに。



「迷惑?」



「そんなことないよ」



だけどすぐ、いつもの彼方らしい笑顔に戻る。その笑顔の裏に隠された優しさが、なんなのかはわからない。



私が来るの、いやなのかな……?



どうすることもできない私は、彼方と少しだけ話しをすると、今日はすぐに帰ることにした。

< 167 / 420 >

この作品をシェア

pagetop