【完】時を超えて、君に会いに行く。
夢中だった。
こうやって幼なじみの自慢話を誰かにできるなんて、すごく楽しかった。
だってこんな話をするのは久しぶりだ。
いつも航の話をすると、誰かに茶化されてた。
〝未歩と航って仲良いんだねー〟とか。
〝付き合ってんの?〟とか。
そういうのが私はイヤだった。
だから、いつの間にか航の話を他人にしなくなっていた。
だんだん大きくなるにつれて、航の話を無意識のうちに避けていた。
誰かに話すときは、小さい頃から仲良しのただの幼なじみだよって言っていた。
でも、彼方は違う。本当に楽しそうに聞いてくれる。
「航は本当にすごいんだよ!中学のときも、陸上の大会で優勝してね!」
「そうなんだ。見てみたかったなぁ」
そして私はふと気づく。
自分が航に対して意地になっちゃったり、素直になれないのは、ただ冷やかされるのがイヤだっただけなのかもしれないと。