【完】時を超えて、君に会いに行く。
「私……」
「……未歩、どうしたの?」
いつから?
いつから私は、航に甘えていた?
あの金曜日。なぜかあの日は、私とふたりで帰りたがっていた航。
様子がおかしいと思いつつも、私は同じ金曜日になるのが怖くて彼方を誘った。
すると突然、不機嫌になった航。その態度に私がイライラして、またケンカして。
けど結局は、美術室に迎えに来てくれる航の優しさに、救われていて。
また航が謝ってくるだろう……そしたら仲直りして、また前みたいに戻れるって……あのとき私、きっとそう思ってた。
そんなことを思ってるうちに、今度は彼方が事故にあって……。
「未歩……泣いてるの?」
彼方に言われて、頬に涙が伝っていることに気づく。
……バカでしょ。
全部、全部私のせいじゃん。
私が意地になって、謝らないからじゃん。
航は今まで、何度もケンカするたびに謝ってくれた。だけどあの日謝らなかったのは、それなりの理由があったはずだ。
そんなことに気づけなかった私は、バカだ。
幼なじみなんて、失格だ……。