【完】時を超えて、君に会いに行く。
航のことは好き。
小さい頃から、ずっと航の背中だけを見つめて生きてきた。
私にとってかけがえのない存在で、誰よりも自慢できて、私には眩しすぎるくらいかっこいい幼なじみ。
もしかして私、小さい頃から……。
ううん。出会った頃から、航を追いかけていたのかもしれない。
いつも、走って前を行く航の背中を追いかけていた。
私もいつか、航に届きたくて。
だけどいつの間にか、成長していく中で見落としてしまっていたのかな。
素直になることを。
前に、航の背中は大きいなぁって思った、一緒に帰ったあの日。
ずっとその背中を見つめていたいとさえ思った。
その想いは、いったいどこへ消えたんだろう?
私が時を超えたことで、あの日感じた想いも、感情も、全てなかったことにしてしまったのかな。
確かに私は、あの日も航の背中を見つめていたのに。
沙奈を想う航に、胸が苦しくなったのに。
自ら手放していたのかな。
そっか……あの感情は、そうだったんだ。
今更気づくなんて、遅すぎる。
私はずっと、航に恋してたんだ。