【完】時を超えて、君に会いに行く。
私、もう決めた。
過去に戻らない。
もう引き返さない。
今の現実を認めて、前を見る。
時を超える力なんて、もういらない。
私は彼方に、恋をする。
この優しい人間のそばにいて、できる限り私が支えたい。
たとえこの気持ちが、自分を傷つけるものになったとしても。
「……彼方、ありがとう」
「え?」
不思議そうな顔をする彼方に、私は笑って言った。
もう涙で霞んでいない夕日の世界は、鮮やかだった。
「彼方がいてくれてよかった」
生まれてきてくれて、私と出会ってくれて、
そして、金曜日の事故の日から……生きていてくれて、本当によかった。