【完】時を超えて、君に会いに行く。
「今日の未歩は、なんか変だね」
泣いたと思ったら、急に今みたいに笑ったりして。
と、彼方は言う。
変だと思う。自分でも。
だけど、この心に宿る想いの正体がなんなのかわかっただけだよ。
それだけで、こんなにも温かい気持ちになるなんて知らなかった。
全部、彼方が教えてくれた。
無性にも触れたいと思うのは、なんでだろう?
やっぱり私は変なのかもしれない。
明日にでも彼方がいなくなってしまうかもしれない、なんて思う私は……。
大胆かもしれないけど、私はそっと、彼の手を両手で包み込んだ。
優しい彼にふさわしい、じんわりとしたぬくもりが伝わる。
ちゃんとここにいる。
今という時間の中で、生きている。
骨ばった大きな手は、彼方が男の子だということを意識させた。