【完】時を超えて、君に会いに行く。
「いや。ただ単純に見てみたいんだよ。友達が書く物語を」
「…………」
〝友達〟という言葉に、胸が痛んだ。
そりゃあそうだよ。
彼方、前に言ってたじゃん。自分が好きなのは沙奈だって……。
「未歩……?」
心配そうに、顔を覗き込まれた。
「読めるかわかんないよ。私の作品なんて……」
「えっ?」
気分が落ち込んでるせいか、ついつい弱音を吐いてしまう。
「まだ結末も見えてこないこんな物語、完結できるかもわからないよ。
彼方の足が治っても、ずっとこのまんまかもしれない……」
「それはないよ」
彼方は即座にかぶりを振った。思わず顔をあげてしまう。
「未歩なら必ず書けるよ」
優しく微笑む彼方。
やっぱり私の胸は、目の前にいる男の子にトクンと音をたてて反応する。