【完】時を超えて、君に会いに行く。
「未歩に応援してもらえるなら、私、頑張れるなぁ」
「……いつ、外国に行くの?」
「わからない。とりあえず自分でお金を貯めて、親を説得してみせる。
……できることなら、今すぐにでも行きたいんだけどね」
私の大事な親友は、そんな大きな夢を、誰にも相談せずに、ずっとひとりで抱え込んでいたんだね。
ひとりで、果てしない地に羽ばたくことを決めたんだね。
「離れちゃうのか……」
「なに言ってんの!今すぐじゃないし、卒業してからもできるかわかんないんだから、そんな落ち込んだ顔しないの!」
わざと明るく振る舞う沙奈。
ポンッと優しく私の背中をたたいた。どこか、あやすようにも似たような仕草で。
そして、ちょっとだけ真剣味を含む声音で言う。
「……私、描きたい絵があってさ。
そこで未歩に、お願いしたいことがあるんだけど」