【完】時を超えて、君に会いに行く。



そして私は言われたとおり、いつもの指定席で小説を取り出し、物語の続きを書き始めた。



数メートル離れたところで、沙奈が指で四角のかこいを作っているのが目に入る。



きっとその四角の枠の中に私を収めて、見たままの画を紙に描くんだろう。



……なんか、変な感じ。



「未歩、小説に集中して」


「わ、わかってる……」



集中したいけど、いざ自分が見られてるって思うと気になっちゃうんだよ……!


チラッと沙奈の方を見てみる。


すると彼女はもう既に鉛筆を持って、紙に絵を描き始めていた。



鉛筆が紙の上を走る音が、心地よく耳に響く。



沙奈はもう、画家モードだ。



……私も小説に集中しよう。


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